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卵を焼くために、わたしは生きているのだ

今より先に、失望も絶望もない。

ゴールデンウィーク

今週のお題ゴールデンウィーク2016」

 

「ついにきたね」

「きたよね。大型連休」

「まあ俺のばあいは今回に限らず連休だけどね」

「あれだよね。ニートだもんね」

「うん。雇われニートだけど」

「雇われてないよね。ちょっと見栄はっちゃった?」

「まあね。ブラックなニートとでも言えばよかったかな」

ニートなのに金遣いは荒いとかね、奥さんに暴力だとかね」

「ぎく」

「やめてよ。ぎくとか言うなよ」

「そんなことよりさ、あんたはどうすんのよ。GW」

「できたら旅行行きたいなあ」

「いいねえ。やっぱシリア方面?」

「いかないよね」

「まさかアフガニスタン系?」

「系統とかよくわかんないんだけど、少なくとも平和な場所がいい」

「するとパナマか」

「文書とか出てきちゃいそうだけどね」

「俺のおすすめはあれだよ、なんだっけ、ブルスケッタみたいな」

ブルガリア?」

「いやいや。アジアだって。日本人ならアジア行けよ」

「人種関係ないじゃない。ヨーロッパいいところじゃない」

「イタリアでパスタ食べてフランスで凱旋門。イギリスでビッグベン見て暗いイギリス人に辟易して最後にスイスでホルン吹くくらいだろう? ヨーロッパなんて」

「どんだけ偏見に満ちてんだよ」

「ドイツでウインナー、香川真司ベルギーでビール。ルーマニア瀬戸貴幸」

「ややルーマニアがマニアックだけど、ちょいちょいサッカー選手はさんでくる意味がわからない」

「なんだっけなあ。ブルスケッタ、いやいやクロケット? クロケットはコロッケのことか」

「そうなの?」

「ヨーロッパかぶれが洋食の言葉も知らないのかよ」

「別にヨーロッパ信者じゃないんだが。アメリカだっていいけど」

「いいわけないじゃんか。ラスベガスで張りぼてみたいな建物見て喜んで、巨大なハンバーガをビールで流し込む? ルート66走ってブルージーン履いて、そうかもしれないしそうでないかもしれない、とか言って」

「なんか村上春樹入りこんでないか? ラスベガスが張りぼてって言ったもの春樹さんだった気がするし」

「いっそのこと島はどうよ」

「そりゃあ行きたいよ。タヒチにフィジー。モルディブは新婚旅行で行ったきり」

「おまえ何回結婚してんのさ」

「文脈的に再婚した流れではないんだけど」

「でも島は攻め込まれたときに不利だからなあ」

「普通そういう状況には陥らないけどね」

アフガニスタンでそんな悠長なことが言えんのかよ」

「だから政情不安定なとこは行かないから」

ニートな俺は情緒のほうが不安定でさ。てへへ」

「それは知ったこっちゃないんだけど」

「アフリカは? ほらもう原体験しちゃいなよ」

「目覚めるっていうよね。インドとか行くと」

「インドとアフリカはかなり違うけどね」

「そういうとこだけ細かいんだなおまえは」

「これ日本人あるあるだけどさ、スリランカの首都ってスリジャヤワルダナプラコッテ、これいえる人絶対に半分以上いるよね」

「知らないが」

「おまえさ、末代まで恥じろ。謝る太宰治にも謝れ」

「すごい言われようだなあ。というかさ、ゴールデンウィークをどう過ごすかなんだよ」

「だから三回目言いますけど、俺はニートなんだって。100%国産のニート

「ミートボールみたいに言うなよ」

「あんたは旅行したいんだろう? だったら俺がおすすめするあれだよ、バームクーヘンにいけってさ」

ブルスケッタじゃないのかよ」

「それパンじゃねえかよ」

「バームクーヘンだって似たようなもんじゃんかよ」

「煮てねえよ! 焼いてんだよ」

「そこじゃねえよ。調理法じゃねえよ」

「じゃあなんだよ。小麦かよ。武豊かよ」

「ハルユタカだよ。北海道だよ」

「じゃあ北海道行けよ」

「行くよ! もう北海道行くよ!」

襟裳岬なんかなにもない春だぞこのやろう」

「森進一はさんでくんなよ!」