卵を焼くために、わたしは生きているのだ

今より先に、失望も絶望もない。

リサイクル

 

資源の再利用技術は飛躍的に高まった。

ペットボトルからシャツを作ったり、ベンチや滑り台を作っていた時代もあったが、今やペットボトルから家を建てることが当たり前になっている。

大手プレハブ建築メーカーが開発した新技術は、瞬く間に建築業界を変貌させた。

ペットボトルから作られる建材は軽量鉄骨よりも軽量かつ強度も高いものとなった。

壁体もペットボトルを使っていた。新しいマテリアルリサイクル技術によるものだとの説明はあったが、詳細はよく分からない。

地震が頻発し、巨大地震の発生率も高まっている中、人々の関心は家の耐震性にあった。

安くて耐震性も向上したペットボトル住宅は建築ブームを迎えるかに見えた。

そこに登場したのが、新建材、ネオボーンによる建築工法である。

鉄筋コンクリートに匹敵する強度を持ちながら、重量はその十分の一にも満たないネオボーンは、関西の大学で理論が提唱された。

この技術を持ってすれば、高層建築では日本が圧倒的優位に立つことは間違いなく、低層建築物もシェアを独占するのは明らかだった。

なにせ材料費が極端に安いのだ。

多くの建築メーカーがこの工法を取り入れた。

従来の在来工法やペレハブ工法に比べて半分以下の建築費で家を新築できるのだ。

町のあちこちでネオボーン住宅が建てられていった。

この新建材。唯一の謎があった。

それは技術的なことに関しては全く情報が流れてこないのだ。

ただ頑丈で、とにかく安い。国も税の優遇を図って建替え支援をしていた。

パンフレットを見ても耐火性能や耐震性能のデータやグラフが並ぶばかりで、具体的なことはなにも書かれていない。

僕は今になってこそ分かるのだ。

身をもって体験しているのだから断言できる。

この工法には、僕自身が使われている。多分僕は死に、その骨が使われているのではないだろうか。

どのような工程でネオボーンに加工されるのかは分からない。

しかしまだ誰も、研究者たちも知らないことがある。

そう、ネオボーンとなってこの家を支えている僕の意識は、ずっと残ったままなのである。

夢の家には、人間の意識が永久に残っている。